風の影上・下 カルロス・ルイス・サフォン著
2006年 10月 20日
1945年のバルセロナで主人公の10歳のダニエルが父親に連れられて
忘れられた本の墓場に行くそこで一冊の本に出会います。
「風の影」という本で作者はフリアン・カラックスこの作者を追いかけて
訪ね歩く中で、カラックスの過去がだんだん現れてくる。
会う人の思い出や回想がダブりながらだんだん全貌が見えてくる。
その中でバルセロナという都市のなんともいえない不気味さが背景に横たわっている。
カラックスの過去とダニエル少年の生き方がいつの間にかよく似た平行線みたいに
物語はすすんでいく。
スペインの内戦をはさんでカラックスの人生とかかわって、ダニエルが成長する
二十年間をバルセロナに住む政治の体制側の人間、反対側の人間
街中の人々それぞれが細密にかかわって描かれています。
血なまぐさい不穏な政治情勢の中での生き方。
どんでん返しの中で、立場が逆転したり、なりあがって下ったりとにかく面白い。
かわいそうな女性がいっぱい出てくるのは、胸をを締め付けられるようでした。
スペインの歴史はまったく知識がなかったので、解説はしっかり読みました。
おどろおどろしたところがいっぱいあったけど、最後はほっとして読後感はさわやかでした。
一気に読んだのでもっとゆっくりよんだらよかったのにと思っています。
最初はわかりにくく、辛抱強く読みました。上の後半から面白みが一気に盛り上がります。
わけがわからなくなって何度も確認しながら読みました。
面白かったです。お奨めです。