「約束の冬 上下」 宮本輝著
2011年 09月 01日
今回もブックセンターで借りた文庫本の「約束の冬」を読みました。
主人公留美子は十年前に住む予定の家が父親の不慮の死によって
家族がそれぞればらばらに住み、売ろうとしても売れなかった家に帰ってきます。
この十年間に恋愛し、別れるなどいろいろありました。
十年前に引っ越した時に見知らぬ少年に10年後の誕生日に会ってください。
その時プロポーズします。という手紙をもらうという不思議な出来事がありました。
その手紙の中に出てくる蜘蛛が空を飛んで移動する珍しい話が出てきます。
留美子の家族も父親を除いて、母親も姉を看取って今はそれなりに、弟は
大会社のコンピュータの仕事をやめて木工の仕事をしているけど本人は
大満足の生活を送っています。
この家はなくなった父親が天然木を集めて作った素晴らしい家です。
お向かいさんのご主人は奥さんをなくしたけど二人の息子も独立して
暮らしています。
お向かいのご主人桂一郎は会社もそれなりに順調だけど今までの
人生で何かちょっと自分には不足しているものがあると感じるこのごろです。
桂一郎の息子のうち長男は妻の最初の結婚の時の子どもです。
奥さんの元ご主人の父親息子のおじいさんと仲良くなり、その生き方の尊敬の念をいだいています。
留美子さんは転居のお知らせをしたことで同級生と再開する。
そして彼女の十年間は闘病生活を送りながら今は開き直って堂々と生きている姿
ネパールに学校を建てるのが留美子さんと友人の約束でした。
最初は留美子さんが主人公と思っていたけどだんだん
隣のご主人桂一郎さんが、主人公かなと思わせます。
どろどろした人間関係や苦労の話は過去のものとして
今はそれなりの生活をしている話がほとんどです。
留美子さんも忙しいけど仲間に恵まれた生活をしています。
十年前のラブレターの差出人は隣の息子をわかります。
ゴルフの話し、葉巻のはなし、クラシックのはなし、美味しい食べ物の話
気楽に読める本でした。
ある意味韓国ホームドラマとよく似ています。
ドキドキすることもなく、読んでいる時はそれなりに楽しくさっと読める本でした。